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フッ化アパタイト被覆酸化チタン
 酸化チタン(TIO2)について  有害化学物質の分解について
 分解における中間生成物  フッ化アパタイトの被覆について
 被覆状態と分散  塗膜状態のXPS測定
塗膜状態のXPS測定
XPS測定とは
個体試料表面に特定エネルギ−のX線を照射すると、X線によって励起された試料表面の原子から光電子
放出されます。この放出された光電子の運動エネルギ−を測定することにより、構成原子内の電子の結合
エネルギ−が求められます。さらにこの電子の結合エネルギ−は、それぞれ特有の光電子スペクトルの値を
取ることからこの光電子スペクトルを測定すると試料表面の構成元素を同定することができます。
 他方、原子同士の結合においてもその化学結合が異なると一般には結合エネルギ−の値が数eV変化す
ることから原子同士の化学結合状態も把握できます。

本測定の目的 光触媒塗料として重要な重要な因子として塗膜表面のTiO2の存在です。TiO2が塗膜表面に存在しないと、
光触媒効果は得られません。つまり“頭だし”が非常に重要となります。しかし、一般の塗料は顔料が塗料中
で分散していることが基本であるため、TiO2を顔料と考えるとすこし一般塗料とは異なった塗料設計をする必要があります。
本測定の目的は、この“頭だし”を確認するとともに、光触媒原料としてフッ化アパタイト被覆TiO2と通常の
TiO2の違いによる“頭だし”の差や塗膜の有機物の結合状態について調査しました。

測定結果 測定;(株)旭化成 中央研究所
測定試料;光触媒原料9%、バインダ−30%その他、分散剤、増粘剤添加で塗料粘度は一定としました。
定量測定

元素
Ti
Si
Na
Cl
Ca
FAP-TiO2
55.3
34.5
4.7
1.0
2.1
1.4
0.4
0.6
0.4
TiO2
64.0
29.7
1.9
1.1
2.0
1.1
0.3
この値を酸化物で分配すると
FAP-TiO2
TiO2
(wt%)
TiO2量
8.1
3.2
となります。この結果からフッ化アパタイト被覆TiO2を使用すると通常のTiO2に比較して塗膜表面に明らかに“頭だし”が出来ていることが確認された。
 ただ、XPS測定の測定距離(断面方向;表面から内部への距離)は、数nmであることから塗膜表面上のTiO2が計算上より少ない理由は、TiO2粒子表面に有機物が覆っていると考えられます。

結合エネルギ−に関して

 原子同士の結合においてもその化学結合が異なると結合エネルギ−の値が数eV変化することから原子同士の化学結合状態も把握
できることから有機バインダ−中のC(炭素)、O(酸素)、及びTi(チタン)の塗膜表面での状態を調査しました。
図1 全体の結合エネルギ−   図2 C(炭素)の結合エネルギ− 
図3 O(酸素)の結合エネルギ−  図4 Ti(チタン)の結合エネルギ−

図1から全体の結合エネルギ−のピ−クを同定すると塗膜表面の元素が確認できます。フッ化アパタイト被覆TiO2の塗膜表面の元素
は、バインダ−及びTiO2以外にCaとPのピ−クが確認されました。これは、アパタイトを構成する元素であることから塗膜表面にアパタ
イトが存在することが判ります。

図2のC(炭素)の結合エネルギ−から、カルボン酸(COOH)、C-O及びC-C結合が確認され、これらは使用したバインダ−中の有機
物の構成形状に起因しています。塗料中のフッ化アパタイト被覆TiO2とTiO2とも、特別これらの結合に影響を与えていません。しかし、
TiO2のみを配合した塗料のC-O結合がフッ化アパタイト被覆TiO2を配合した塗料のそれと比較して若干多いとも考えられます。

図3のO(酸素)の結合エネルギ−から使用したバインダ−中の有機物にはC=O、C-Oが存在しますが塗料中にTiO2のみを使用する
とC=Oピ−クは確認出来ず、C-Oピ−クのみとなります。これは、結合エネルギ−の小さいC=OがTiO2に接触し、結合が切れたと現在
は推定しています。この現象が助長されると塗膜の分解(破壊)につながります。530eV付近の無機酸化物は、Ti-O及びCa-O、P-O
のピ−ク位置です。ピ−ク位置が重複しているため正確な判断はできませんがフッ化アパタイト被覆TiO2を使用した塗料は、少なくとも
TiO2とアパタイトが表面に存在していることも確認できました。

図4のTi(チタン)の結合エネルギ−からフッ化アパタイト被覆TiO2と通常のTiO2ともその結合状態は同一であることが確認されました。これはフッ化アパタイト被覆TiO2とTiO2の両方ともその結晶内の電子状態が等しいことを表しています。つまり、フッ化アパタイト
被覆TiO2中のTiO2電子は、フッ化アパタイトの方には移動していないと言えます。言い換えれば、フッ化アパタイトは、触媒の効果
はないため、図3中のC-Oは確認できなかったと考えられます。

以上の結果からXPS測定から確認できた事項は
1) 塗料中に光触媒原料としてTiO2よりフッ化アパタイト被覆TiO2を使用した方が塗膜表面にTiO2が多く存在する。つまり“頭だし”
   ができています。
2) 塗料中に光触媒原料としてTiO2単味を使用すると有機結合を切る可能性が高い。一方、フッ化アパタイト被覆TiO2を使用する
   とそのような現象は認められません。
3) フッ化アパタイト被覆TiO2中のTiO2は、被覆していないTiO2とその電子状態は等しいことからTiO2に被覆しているフッ化アパタイト
   は触媒機能はないと推定できます。

(C)トウメイ